亡くなられた方の遺言書を発見した場合や遺言書を託されていた場合には、遺言書の検認手続きが必要になります。
遺言書の検認手続きは家庭裁判所において行われます。
※公正証書遺言や法務局の自筆証書遺言保管制度を利用した場合は検認は不要です。
検認とは
検認とは、遺言書の形状、状態などを家庭裁判所において確認し、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。
検認手続きが済むと、裁判所で遺言書の写しが一定期間(5年~)保管されることになります。
これにより書き換えなどの偽造がされた場合には、裁判所で保管された遺言書の写しと照らし合わせれば、偽造されたことがすぐに判明することになります。
お手続きの流れ
1.相続発生
相続の開始により遺言の効力が発生します。
封筒に封印された遺言書(らしきもの)を発見した場合は開封せず大事に保管しましょう。
2.検認の申立て
遺言書の保管者は、必要書類を収集し、遺言書検認申立書を家庭裁判所に提出します。
裁判所と検認期日の打ち合わせが行われます。
原則相続人全員に対して、家庭裁判所から検認期日の通知が送付されます。
3.検認期日
出席した相続人立会いのもと、遺言書が開封され中身が確認されます。
家庭裁判所から、遺言書発見の状況や筆跡などについて質問されることがあります。
4.検認済証明書の取得
検認終了後、遺言書に「検認済証明書」を付けてもらいます。
5.遺言による相続手続き
検認済証明書付きの遺言書を使用し、相続登記や預貯金等の相続手続きを開始します。
必要書類等
- 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の住民票(または戸籍の付票)
- 受遺者がいるときは受遺者の住民票(または戸籍の付票)
ご依頼いただけた場合は当事務所で代行取得します。
費用
司法書士報酬 | ①検認申立書作成 22,000円(税込) ②必要書類取得 1通あたり1,650円(税込) |
実費 | ③戸籍・除籍・改製原戸籍・住民票等 ④収入印紙・切手 実費は通常5,000~20,000円の範囲内に収まります。 |
注意点
検認は遺言書の有効性を証明するものではありません
検認は遺言が有効か無効かを判断する手続ではありません。
検認を経ても遺言の法定要件を満たしてないようであれば(日付が記入されてない等)、遺言としての法的効力が発生せず、相続手続きに使用できないこともあります。
後日訴訟によって遺言の効力の有無が争われ、無効と判断されることもあります。(「本人の意思に反して書かされた」「作成時に認知症で遺言作成能力がなかった」等)
- 開けてはいけないと知らずに遺言書を開封してしまいましたが、大丈夫でしょうか?
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遺言書を開封してしまっても、その事をもって遺言が無効になることはありません。検認手続も可能です。
ただし、五万円以下の過料が発生する可能性があります。 - 検認期日に相続人は出席する必要はありますか。
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申立人以外の相続人は検認期日に出席しなくてもかまいません。
後日「遺言書検認調書謄本」を裁判所に請求することにより遺言書の内容等を確認することができます。